STP分析とは?メリットと手順をご紹介
自社で展開する商品やサービスの販売を促進したいと思っている方は、様々な角度からの市場分析を試みることでしょう。
なかにはSTP分析をマーケティング戦略に役立てようと思っているものの、どんなものか分からずお困りの方もいらっしゃるようです。
そこで、今回はSTP分析について解説します。この記事を読めば、STP分析を行なうメリットや手順もわかるようになります。
注意点や企業の事例も紹介していますので、マーケティング担当者の方はぜひご覧ください。
STP分析とは
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)/Targeting(ターゲティング)/Positioning(ポジショニング)の3つの頭文字を取ったマーケティング手法」です。
アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱しました。活用することで、市場やターゲットを絞ったり市場における自社の立ち位置を把握したりできます。
Segmentation/Targeting/Positioningには、それぞれ下記のような意味があります。
Segmentation(セグメンテーション)
市場の細分化
Targeting(ターゲティング)
参入する市場の決定
Positioning(ポジショニング)
市場における自社の立ち位置の明確化
このように、STP分析はマーケティング戦略を打ち立てるのに役立ちますが、どんな業界にも応用できる考え方とされています。
新たにビジネスを始めようと思っている方は、戦略の立案に役立ててみてはいかがでしょうか。
STP分析を行うメリット
STP分析を行うことで、次の3つのメリットを実感できます。
・顧客やニーズを把握できる
・自社の強みや置かれている立場を理解できる
・競合よりも優位な市場で戦える
以下では、詳しく解説します。
顧客やニーズを把握できる
STP分析をすると、自社が狙うべき顧客の詳細なユーザー像が浮かび上がってきます。
どの市場にどんな顧客が多くいそうかが見えてくるのです。たとえば、いま幅広い世代に人気のサウナのグッズ販売する場合、温浴施設に来店する30~40代の男性を主なターゲット層として想定できます。
このように、STP分析は自社の顧客となり得るユーザーや需要のありかを見つけ出すのに欠かせません。
ペルソナ設定にも役立ちますので、新しい商品やサービスを開始しようと思っている方は活用してみてはいかがでしょうか。
自社の強みや置かれている立場を理解できる
STP分析をすると、「どんな点で自社が競合他社よりも優れているか」がわかるようになります。
反対に、劣っている部分も捉えることが可能です。自社で販売促進しようと思っているのにもかかわらず、「ターゲット層に向けて今後どう手を打つべきか」が依然として固まっていない方はSTP分析を活用してみてください。
自社に対する理解を深められます。
競合よりも優位な市場で戦える
STP分析をすれば、需要はあるのに競合の少ない市場を見つけ出せる可能性があります。
なぜなら、分析せずに参入しても失敗に終わる可能性が高いですが、参入する前に市場や顧客について分析すれば、自社にとって有利な市場競争の場を見つけられるからです。
自社が狙うべき最適な市場を探している方はSTP分析を活用してみましょう。
STP分析の各項目の指標とSEO対策
マーケティング戦略だけでなく、SEO対策にも役立つSTP分析は次の3つの項目に分けられます。
・Sセグメンテーション
・Tターゲティング
・Pポジショニング
以下では、項目ごとに詳しく解説します。
Sセグメンテーション
セグメンテーションとは、市場を属性やニーズで分けることです。
市場細分化とも言い、実施することで市場の全体像を掴んだり、ターゲットを明確化したりできるようになります。
ターゲットの明確化は、ペルソナの設定に欠かせません。
実際にセグメンテーションを行なうための指標としては、主に次の4つが挙げられます。
人口統計的変数(デモグラフィック)
性別、年齢、学歴、職業、家族構成など
地理的変数(ジオグラフィック)
居住地、宗教、文化など
心理的変数(サイコグラフィック)
性格、趣味、価値観、ライフスタイルなど
行動変数(ビヘイビアル)
購買頻度、使い道など
Tターゲティング
ターゲティングとは、市場を絞って狙いを決めることです。
そんなターゲティングには、次の3つのタイプがあります。
集中型
一部の市場にだけ訴求するタイプ。高級ブランド、ニッチな商品、熱烈なファンがいる状態。
差別型
細分化された複数の市場を相手に多種多様なニーズに合う形で商品・サービスを提供するタイプ。
商品・サービスによって価格や機能が異なるのが特徴的。
無差別型
細分化を無視して、すべての市場に同じ商品・サービスを供給するタイプ。
食料品が代表的な例。
マーケティングの効果を最大化させるためにも、自社に最も合う型を取るようにしましょう。
Pポジショニング
ポジショニングとは、市場における自社の立ち位置を競合との関係のなかで明確化させることです。
ポジショニングを行う時には、自社がどんな点で優位かを見極めなければなりません。その際、価格や数量、品質といった自社と競合を差別化する指標を決めて、その中から選んだ2つを軸として分析する必要があります。
競合都の中で自社の置かれている立場を知りたい方は、活用してみてください。
ここまで見てきた3つの項目からなるSTP分析ですが、実はSEO対策にもなります。
STP分析を使ってSEO対策するには、Googleアナリティクスの「ユーザー」タブの確認が必要です。
この部分を確認すると、年齢や性別といった属性ごとにユーザーを分けたときの情報が得られます(セグメンテーション)。
どんなユーザーがWebサイトにアクセスするのかを知ることができ、これがペルソナの設定や市場の決定(ターゲティング)に役立つのです。
競合他社とのなかで、自社の立ち位置(ポジショニング)を把握するためには、自社サイトが特定のキーワードで何位に表示されるかを調べる必要があります。
検索順位を調べる際に、検索エンジンやツールを活用しましょう。
STP分析を行う手順
STP分析を行うには、次の5つの手順を踏む必要があります。
・何のために分析を行うのかを明確にする
・市場を細分化する
・ターゲットとする市場を選定する
・市場における立ち位置を理解する
・分析結果をマーケティング施策に活かす
以下では、詳しく解説します。
何のために分析を行うのかを明確にする
STP分析を行う際は、まず目的を明確にする必要があります。
なぜなら、自社が目指すべき到達点がはっきりしていないと方向性がぶれるからです。
目的を明確にせず分析しても成果は得られません。
市場を細分化する
目的を明らかにしたら、次は市場を細分化しましょう。
市場を分析するには顧客を属性やニーズごとに分けた指標が欠かせません。セグメンテーションの指標は前の節ですでに列挙しましたが、他にもあります。
6RはRival(競合)・Rank(優先順位)・Reach(到達可能性)・Response(測定可能性)・Realistic scale(有効な規模)・Rate of growth(成長率)の頭文字をとったセグメンテーションの指標です。
ターゲットとする市場を選定する
セグメンテーションが済んだら、次はターゲティングです。
集中・差別・無差別のうち、自社の強みや商品・サービスの特長に合った型を採用するようにしましょう。
市場の選定がうまくいけば、顧客ニーズはあるのに競合がいない狙い目の市場を見つけられます。
市場における立ち位置を理解する
ターゲティングが終わったら、次はポジショニングをしましょう。
市場における自社の立ち位置を知るには、「競合とどの点で差別化するのか」を明確にしなければなりません。
その際、価格や数量、品質といった指標の中から選んだ2つを軸として分析する必要があります。
自社に対する理解が深まったとき、競合との関係の中で、市場のどこに居れば自社が戦いを有利に進められるのかを考えられるようになっているのです。
分析結果をマーケティング施策に活かす
STP分析によって自社がアプローチする市場と顧客が決まったら、最後は分析結果をマーケティング戦略に活かす段階に入ります。
ここで立案する戦略は設定したペルソナに満足してもらうためにも、具体的な内容にすることが欠かせません。
STP分析を行う際の注意点
STP分析を行う際には、次の3つの点に注意しましょう。
・他の分析方法も検討する
・市場の大きさや成長率も視野に入れる
・順番にこだわらない
以下では、詳しく解説します。
他の分析方法も検討する
STP分析をするときは、それ以外の分析手法も活用しましょう。
3C分析やSWOT分析といった他の手法も活用することで、色んな角度から市場分析できます。
視点が増えて、STP分析だけでは気付かなかった自社の強みや弱みが見つけ出せるかもしれません。
市場の大きさや成長率も視野に入れる
STP分析によって自社に最も合ったポジションを市場の中に見つけることできたと思っても、分析結果はあくまで理論上のものなので、実際は異なるかもしれません。
場合によっては市場が小さかったり、数年後に先細りしたりする可能性もあります。
より現実に近い分析結果を得るためにも、STP分析だけでなく4P分析やPEST分析といった他のフレームワークも同時に活用してみてください。
順番にこだわらない
STP分析はセグメンテーションから始めるのが一般的ですが、実はどの項目から始めても結果に影響しません。
そのため、進めている段階が行き詰まった場合には他の項目に移るのも1つの手です。
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企業の成功事例
STP分析を行なっている企業は数多く存在しますが、なかでも実践に成功した企業の事例を今回は2つ紹介します。
・ユニクロ
・コカ・コーラ
以下では、詳しく解説します。
ユニクロ
衣料品の製造から販売まで国内外で一貫して行なっているユニクロは、STP分析の実践に成功した企業の1つです。
従来アパレル業界では前もってペルソナを設定してターゲットに訴求するやり方が主流でした。
しかし、ユニクロは特にターゲットを絞ることなく、商品(ヒートテックやフリースなど)を絞り込み、カジュアル・ベーシックという独自の路線を展開しました。
これにより、高品質な衣類を低価格で手に入れられるとして、市場における圧倒的な地位を確立したのです。
コカ・コーラ
世界最大の清涼飲料メーカー、コカ・コーラもSTP分析の実践に成功した企業です。
コーラを代表される炭酸飲料やお茶、コーヒーなどを展開しています。
1886年の誕生以来、長きにわたって愛されてきたコカ・コーラですが、1980年代にライバル企業「ペプシコーラ」にシェア位の座を奪われてしまいました。
首位を奪還するために「ニューコーク」と呼ばれる新商品を発売したりしましたが、顧客離れを防げず失敗に終わりました。
そこで、STP分析により市場と顧客を一から見直したところ、分かったことがあります。それは顧客が欲しているのは飲み慣れたコーラだということです。
もともと知名度の高いコカ・コーラの場合、変わらない美味しさを提供することが1番だったのです。
まとめ
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)の3つの頭文字を取ったマーケティング手法」です。
行うことで、「顧客のニーズを把握できる」「自社の強みや置かれている立場を理解できる」「競合よりも優位性のある市場で戦える」といったメリットを実感できます。
STP分析を行うには、次の5つの手順を踏まなければなりません。
まず、何のために分析を行うのかを明確にしたうえで市場を細分化します。
次に、ターゲットとする市場を選定し、市場における立ち位置を理解しましょう。
最後に、分析結果をマーケティング施策に活かします。
STP分析を行う際には、「他の分析方法も検討する」「市場の大きさや成長率も視野に入れる」「順番にこだわらない」ことに注意しましょう。
今回紹介した事例のようにSTP分析に成功した企業はどれも一貫して顧客の目線に立っています。
自社で展開している商品やサービスの販売を促進したい方は、STP分析をしてみてはいかがでしょうか。
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